手放すこと。別れること。
凄く悲しい漫画を読んだ。
私のアイダーダウン・与沢翼が、暫く見ないうちにアイダーではなく湿った綿布団になってしまっていたのを書類送検のニュースで見て既に悲しくなってしまっていたのに、ホッテントリに挙がっていた漫画を読んだことで悲しみが倍増した。
加齢に悩むゴスロリガールを描いた漫画にネットがざわつく あなたはこの結末、どう思う? - ねとらぼ
※以下ネタバレありなので、興味ある人はリンク読んでからでも戻って来てください。
先に帰って来ておきながら何もせず「俺もー腹ぺこなんですケド」などと文句を垂れ流した挙げ句、太ったかもと言う主人公に「太ったの!?イヤだよキレイなさわちゃんでいてよ」などと宣うクズこの上ない夫のダメさ加減は置いておくとして(なぜそんなクズと結婚した)、好きなものから離れなければならない悲しさが本当に堪らない。
私はゴスロリではなく、ファッションパンクとちょいゴス・ちょいロリあたりをウロウロしていた症状の軽いほうだけれど、年齢をおうごとに似合わなくなっていってしまうんだよね。
ちょっと寝不足で化粧ノリの悪い顔ではゴスもロリもできない。小じわのある顔でのゴスやロリほどみっともないものはない。
つけまつげがギャルだけでなく20代〜30代にも浸透し始めたとき、主婦向け雑誌で「40代以上でもつけま!」という主旨のつけま講座をやっていたけれど、たるんだ瞼にアイラインのノリも悪くなっている目元へのつけまつげは不自然だ。その企画も、ハイライトでトバした画像を多用してなんとかやりきってはいたものの、無理があった。
30代のゴスやロリにも同様の現象が起こる。
35歳まで引っ張った趣味を初対面の20歳女子(顔があんまりかわいくないのがミソやね)の一言がキッカケでひっくり返せるのかは疑問かなーという作品への感想は置いといて、この記事の取り上げ方の雑さが気になるわ
というid:nancyさんという方のブコメがついていたけれど(リンクしたかったけどブコメにリンクする方法がわからなかった…。nancyさんごめんなさい)、むしろブス山さんであったからこそその言葉から与えられる衝撃が大きいのだと思う。ブス山さんのお肌はピチピチだ。
たぶん、いまゴスやロリをやっている20代後半〜30代の人は引き際を考えているのではないかと思う。
誰しもそんなことは考えたくない。いつも好きなお洋服を着ていたいし、好きなメイクをしていたいし、大好きなバッグと大好きなアクセサリー、大好きな靴を履いていたい。けれどこの主人公が姿見に映った自分を見て絶望してしまったように、街中のショーウィンドウに映った自分の姿を見たとき、電車の暗い照明で車窓に映った自分の姿を見たとき、少しずつ「もう無理なのかもしれない」という焦りのような気持ちを蓄積させていく。
これはゴスロリが好きだったんじゃなくて、お姫様扱いされる自分に酔ってたことに気づいたってだけでしょ。オタクもバンギャもファッション界隈も傍からみたらおばけみたいな人たくさん居るよ。
というブコメもあった(id:cleome088さんという方)。でも、そのおばけみたいなひとたちだっておばけだと思われたくてそういう格好をしているわけじゃない。ただ好きな服を着たり、好きなものに没頭しているだけ。その人たちは恐ろしく客観性がないか、腹を決めて開き直ったかのどちらかだ。でも開き直れるのはほんの一握りで、殆どの人は少しずつ蓄積されてしまった「無理なのかも」の重さに耐えきれず、ゴスやロリの衣装を脱いでいく。最後に決めるのは自分だ。
(余談だが、ゴスロリして奇異の目で見られることはあってもお姫様扱いされることなどない)
excentriqueのコルセットも、BABY,THE STARS SHINE BRIGHTのパニエも、metamorphoseのジャンパースカートも、Angelic Prettyのヘッドドレスも、MIHO MATSUDAのフリルブラウスも、全部全部愛おしいのに、脱ぐときが来てしまうんだ。
個人的には「好きならばずっと着続ければいい」と思っている。
幸い、私たちには先陣を切ってくれている中村うさぎ(もう退院したのかなと思ってググったら元気にblogを更新していた。よかったよかった。)がいる。(雨宮処凛もいると思っていたのにblog見に行ったらちょっと派手目のOLみたいになってた…。ショック…)
でも、あそこに至るまで開き直れる頑丈な精神の持ち主は殆どいない。私ももう選ぶ服が変化してきてしまっている。そんな人間が、ゴス服ロリ服を脱ごうとしている妙齢女性にかけられる言葉など皆無だ。
みんなわかっているんだ。その「わかっている感じ」と「諦めねばならない感じ」がとっても悲しいんだ。なんでこんなに可愛くて大好きなのに、似合わなくなるときが来るの?なんで脱ぐときが来るの?
世間の目よりも、その大好きな服が自分に似合わなくなってしまったことに気付いてしまったこと。
それが本当に悲しいんだ。
大好きで 凄く大事な君だけど 離れるときが来てしまった今
冷たくて 小さな痛みが降り積もる 離れる方へ 別れる方へ