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アンサーソン

おひとついかが

余裕田無五郎

余裕がないのである。

余裕などないのである。

「逃げ恥」最終回でガキ山さんも言っていた、「働いていると余裕がなくなる」と。

(注・自然に打ってしまったが「逃げ恥」に夢中になり始めて以来、私が勝手に心の中で新垣結衣をガキ山さん呼ばわりしているだけである。ガキ山さんクソ可愛いけど最終回のガキ山さんは途中まであんまり可愛くなくていただけなかった)

 

そうなんだ、無職期間を経験したことのある人で、かつその間他人と暮らしていたことのある人にならわかっていただけるであろう。労働していると余裕がなくなるのである。

この「余裕」というのは時間的なものでもあるが、本当に影響が大きいのはその時間的余裕がなくなることによって精神的余裕がなくなることであると思う。精神的に余裕がなくなると人はピリピリするし、他人に優しくなどできなくなる。通勤のため駅に行けば混雑でぶつかった人に心の中で悪態をつき、電車が遅れていれば電車ないしはその運営会社に心の中で悪態をつき、電車に乗れば邪魔な荷物の持ち方をしているサラリーマンやOLに心の中で悪態をつき、改札で引っかかってしまった目の前の人に心の中で悪態をつく。

 

通勤だけでこれだけの悪態を背負っている(悪態を背負うという言い方はおかしいけどこの際それはどうでもいい)。

 

もっとも、私は昔知人に「精神的ヤンキー」(一見ヤンキーの気はないし私自身もヤンキーを嫌ってはいるものの、苛ついているときなどに考えていることを話し出すと口が異常に悪く喧嘩っ早くてまるでヤンキーやチンピラのようである、の意)と詰られたことがあるので私の悪態が過剰である可能性は否定できないが、いずれにしてもピリピリイライラしているのは皆一様なのではなかろうか。

本当は穏やかでありたい。

 

正直、私は何年かぶりの無職になってしまうまで、自分の本質はこちら(精神的ヤンキー)のほうだと思っていた。しかし、毎日小鳥の世話をし、小鳥と遊び、洗濯と掃除と晩ご飯のことだけを考えていればいい生活をしてみて、如何に自分がそれまでピリピリ、いやピリピリを通り越してビリビリイライラしていたかを思い知ったのだった。なにをそんなにまでイライラしていたのだろう?とまで思った。

明日は雨だから今日中に洗濯をしてしまおう、とか、明後日の金属ゴミの日にこれを出してしまいたいから今日明日中に分解してしまおう、とか、日々の生活のことだけを考え、心穏やかであった日々。

問題点はお金がないこと、その一点だけだった。

 

我が家は財布が別で、かつオットが私が無職になっても生活費を出してくれなったため、無職期間に私は預金を使い果たして本当の一文無しになった。食費(夕食の買い出しを含む)は私持ちである。私が「生活費をくれ」と言い出せなかったことと、もっと早く仕事が決まると高をくくっていた、というのも敗因の一つではある。途中から家賃も支払えなくなった(私が有職のときは5:5の折半だった。払えなくなってから数ヵ月はオットに払って貰っていたが、その分はいずれ返却するつもりだ)。本当にどうしようもなくなってから、オットに「携帯料金が払えずに今月末止まります」などと申し入れ、ようやく少しずつ出してくれるようにはなったが、基本的にオットは「あまり出したくない」というスタンスのようであった。マジかこの人、と思いもするが、イヤそれが本来は共稼ぎ家庭の正しい姿なのではないかという気もしていて(当時共稼ぎではなかったのだからもうちょっと配慮が欲しかったと思わないでもないけど)線引きをちゃんと決めずに無職になったのが最たる敗因だろうか。未だに正解がよくわからない。経済的に依存するのは違うと思うしイヤなのだが、じゃあどこからが経済的に依存しているということになるのかとか、じゃあ私はどこまで出して貰うならイヤじゃないのかとか、そのへんが全然わからないぞと困っているのである。

 

とにかく、そういうわけで私は早急に仕事を決める必要があった。お金がないからだ。

今の会社から「是非来てください」という色よいお返事をいただいたとき、もう一社既に返事待ちの会社があり、仕事内容としては後者のほうが魅力的だった。ところが後者は外資だったため、アメリカ本社の承認が必要だったり、採用された場合の仕事のスタートがエージェントの担当営業がその会社の人事から聞いていたものと大幅に異なり2ヵ月近くずれることがわかったり、とにかくなんだかぐだぐだになってしまっていたので(エージェントの担当営業には物凄く恐縮されて平謝りされた)、後者はお断りして今の会社に入ることにした。とにかく早く就業せねばならなかったのだ。

とはいえ、今の会社も大きなITコンサルなので、忙しい忙しいと言いながらもみんなほぼ定時で上がり、20時くらいまで残業などしていると「めっちゃ夜中まで残業してる感」が凄いし(人が全然いなくなるから)、忙しいと言いながらもなんだかのんびりしているし、大企業特有の穏やかさおおらかさがあって仕事がしづらいような環境ではない。最近は私も小さな会社にばかりいたため、「ああ、大企業ってこんな感じだったっけか…」とそのおおらかさに日々助けられている。なんだか牧歌的なのである。

 

とはいえ、やはり無職で毎日穏やかに小鳥と遊んでいたときのことを思うと、全くもって余裕がなくなっていると感じるのである。ちょっとしたことでピリピリしてしまう。

おおらかな会社とはいえ、仕事は沢山あるしやはりストレスが溜まっているのだろうな、という想像は容易にできる。それはわかっているが、そのストレスって一体どうすればいいんだよ、って結構前のブログでも書いた気がしてきた。

ていうか多分書いてる。ストレスの解消法がよくわからんという話である。

 

こんなにストレスが溜まってしまう「労働」って、実は物凄い害悪なのではないかと思うんだよ。ていうかさ、フルタイムで働いている人たちはだいたいみんな短くても7時間〜8時間くらいは労働してるわけじゃん。なんで人生の1/3もの時間を労働で潰されなきゃならないんだろう?なんでそんなに労働しなきゃ生きられない世界なんだろう?という疑問が湧いてきたんだよね。そもそも8時間労働って一体誰が決めたんだと。

8時間の労働が8時間きっかりで済んでる人っていないじゃない?残業や早出の話じゃなく、例えば9時〜17時の定時だったとして、通勤時間を1時間、家を出る1時間前に起床すると仮定する。これで2時間プラス8時間拘束(1時間休憩)。17時定時きっかりにあがって1時間かけて帰宅。これで11時間。

11時間だよ?1日24時間のうち11時間。

睡眠時間を7時間として、労働に費やしてる上記の11時間を足して18時間。

6時間しか余らないじゃん。しかもこの仮定の人、7時間労働っていう恵まれた環境下にいるにもかかわらず、1日6時間しか自由に使える時間がないってちょっと酷くないか?

それに土日祝のお休みを加えたら、やっぱり人生の1/3くらいは労働してることになるのかな。しかも。20代前半から60くらいまで。結構な時間だよね。年老いて遊ぶ気力も体力もなくなってから「さあ自由にしてください」って言われてもさーと思うよね。

前の前の会社で、定年過ぎたおじさんが「家にいても何していいかわかんねーんだよな」って言ってたの。その人は結構な人脈を持ってたから定年過ぎても会社に乞われて常勤で営業やってたんだけど、「今『もう仕事辞めて家にいてください』って今更言われても困るよな」と言っていて、その会社が廃業したあとも人脈を活かして某大手企業に就職した(と聞いた)。基本的に全然年寄りっぽくない人だから今もバリバリ仕事してるとは思うけど、そういうの見ると「他に趣味とかねえのかよ」と思う一方で、今までワーカホリックになるような働き方しかさせてこなかったのに突然放り出されてもそりゃ困るよね、という気がするのもまた事実。

 

このところ過労死にまたスポットが当たって長時間労働にしてももちろんそうなんだが、普通に働くのも結構、結構結構な感じじゃないか?と思うんだ。「普通に働いてる」だけでも、一日6時間しか自由な時間なくなっちゃうんだもん。ここに夕飯の買い物とか調理、食べる時間、後片付け、お風呂、洗濯等々入れたらもっと時間はなくなる。子持ちなら更にやれお迎えだ子供のお世話だ子供と遊ぶ時間だ、で本当に自由な時間なんてない。

もっと労働時間って短くできないものかな。テレワークみたいに家で仕事すればちょっとは時間できるけどさ、そうじゃなくもっと根本的に、7時間とか8時間じゃなく(もちろん10時間20時間という話でもなく)、労働時間5時間くらいでちゃんと生活できるくらい稼げる世の中になればいいのにと思ってるという話。

 

 

 

労働時間に関して思うことでもう一つ思っていることがある。飲食って基本ブラックじゃないですか。飲食業は短時間労働にしたらいいんじゃないかと思うのね。飲食って基本肉体労働だし、長時間働いたら身体がぶっ壊れるに決まってる。渡邉さんみたく心身ともに丈夫な人は別だろうけど、みんなそうもいかないから、働いてる社員全員4〜5時間労働にするのね。お給料は安いけど労働時間は短いよと。そうすれば「長時間労働はイヤだがそのかわり給与は低くていい」って人は働くと思うんだ。働きます、と手を挙げてくれる人が増えれば各店人員がいなくて回らないとか、一人に沢山の仕事を押しつけて長時間労働になるとかそういうのが減ると思うんだけど、これの問題はたぶん社会保険なんだよなー。誰か何かいい案を出してくれればいいのに。そうしたら、その方策が飲食以外の一般企業の短時間労働にも役立つかもしれないのに。

いずれにしても、純日本的・滅私奉公的な考え方(と、ガキ山さんも言っていた「やりがい搾取」)が、企業側からも労働者側からも消えないとこういう問題って解決しないんだろうなとは思う。

 

ていうか3時半過ぎてるじゃねえか。いい加減寝るわ。

あ、風邪はだいたい治りました、おかげさまで。